会長挨拶

加藤智栄 会長挨拶


加藤智栄 会長

はじめに
 令和4年6月16日の第191回山口県医師会定例代議員会で、第25代河村康明会長の後を継いで、会長に選任・選定された加藤智栄です。新執行部では、再任された優秀な理事・監事の13名に加え、新たに郡市医師会で活躍されて来られた、素晴らしい理事5名・監事2名を迎えました。女性医師は役員の20%を占めることになりました。各自が柔軟な発想で、心を一つにして、さまざまな問題に対応するとともに有益なことを生み出していける組織にしたいと考えています。

 

自己紹介・医師会との関わり
 昭和30年石川県白山市の生まれで、昭和57年に山口大学医学部を卒業しました。今時、はやらないオールマイティの外科医をめざし、大学では心臓外科を中心に研鑽し、今勤務している病院では心臓外科以外の外科診療を一生懸命にして参りました。
 日本医師会への入会は平成2年で、平成16年から小野田市医師会の理事を3年間務めました。平成21年、当時の木下敬介県医師会長から、県医師会の広報委員へのお誘いがあり、平成23年まで勤めさせていただきました。平成22年から23年までは、県医師会の役員ではありませんでしたが、日本医師会代議員にしていただき、勤務医の立場からさまざま提言や質問を日本医師会代議員会でさせていただきました。
 平成24年、小田悦郎会長の時に、県医師会理事として加わり、県医師会で貴重な10年を理事として経験させていただきました。

 

県医師会の業務
 県医師会は、山口県の医療を守るために存在し、県の医療行政と深く関わっているため、活動は多岐に渡っています。医事案件に対応する医事法制(山口県ではとても充実している)、会員の質の向上や新しい知見の習得・専門医取得に必要な共通講習などの生涯教育、医療機関経営・看護学校の支援、医療保険や地域包括ケアへの対応、地域医療・救急災害医療への対応、妊産婦・乳幼児保健・ワクチン接種への対応、学校医・産業医の育成、勤務医・女性医師対策、広報・情報活動などの業務があります。県医師会が進めてきたHPVワクチンの積極的勧奨も本年の4月から再開されました。これらの業務の上に、新型コロナウィルス感染症対策が加わり、ワクチン接種では全国一の接種率で、重症化例は少なかったと思っています。コロナ禍のため各種会合は中止や延期、書面開催、広い会場での開催、Web併用のハイブリッド開催、完全Web開催など、柔軟な対応をとってきました。昨年から、県医師会の記者会見も河村会長が中心となって開催してきました。第8次医療計画では、5疾病5事業から5疾病6事業となり、新興感染症対策が加わることとなっています。
 このように広範な領域で、県内の医療が円滑に行われるようにするため、20人の役員と22人の事務局員体制で対応して参ります。

 

県内医療の課題
 令和2年1月から続く、新型コロナウィルス感染症対策は、引き続き対応が必要な課題です。
 最大の課題は若手医師不足です。県医師会で県内の病院や地域の医療関係者との会合を持つと、必ず時間外救急への対応問題が話題に出てきました。全国的には医師数は増え、県内でも僅かに増えてはいますが、若手医師不足は全く解消されていません。医師の働き方改革、医師の地域による偏在・診療科における偏在の解消、地域医療構想の実現がいわれていますが、若手医師が増えないことには到底解決しません。働き方改革の時間外労働規制は令和6年にスタートします。
 平成28年の山口県の医師数は3,436人、平均年齢は52.5歳(令和2年には53.3歳:日本一高齢)でした。45歳未満の若手医師の減少は平成10年と平成30年を比べると、3割減でした。若手医師は、時間外救急の担い手であり、この層の増加対策が急がれます。県の方でも、地域枠の医学部入学を設けるなど若手医師の県内定着を促進していますが、若手医師の増加が思うように進んでいません。
 令和2年に県から出された医師確保計画では、2036年に必要な医師数は3,624人とされていますが、今のままで目標が達成されるとは考えられず、抜本的な対策が必要です。
 次に、医業継承が課題です。県内でも、跡継ぎがなく閉院となってしまう医療機関が増えてきています。一昨年から、医業承継のアンケート調査を開始し、一昨年度は譲渡の意向調査を医療機関経営者に行い、昨年度は譲受の意向調査を勤務医に対して行いました。
 医師会員も高齢となってきており、県医師会員数も減少傾向です。「人は城、人は石垣」という武田信玄の言葉のように、組織の礎は、人です。山口県の医療を良くするためにも、組織強化のためにも医師会員を増やす必要があります。人が増えれば、多くの問題が解決すると思っています。
 なかなか進まない地域医療構想の実現は、地域の意向が最優先される形で進められるべきと考えています。多くの建設的な対話が求められます。

 

課題にどう取り組むか
 新型コロナウィルス感染対策では、初期は拡大防止のための対策、その後は早期発見・入院治療、ワクチン接種、オミクロン株になってからは自宅療養とリスクのある患者の入院治療と対応が変化したように状況に応じた柔軟な対応をとっていきます。山口県はあまり目立っていませんが、重症患者は少なく、ワクチン接種率では高い水準となっています。これも、地域の医師が、日頃から、行政や住民との信頼関係を大切にし、全県をあげて住民の健康と命を守ってこられた結果の現れと解釈しています。このような対応は素晴らしく、継続していきます。
 若手医師不足に対しては、行政の協力を得ながら、地域医療の充実のために、時間外救急を担当する医師個人(主に若手医師)がきちんと評価される体制を作っていきたいと考えています。若手医師層の充実のために当面は全力を注ぎます。
 地域医療を守るために、譲渡側と譲受側のマッチングを推進できる組織づくりを具体的に進めたいと考えています。
 昨年から開始した、県民に向けての記者会見も重要な医療情報を県民に伝えるために適宜行っていきたいと考えています。
 新型コロナ感染症対策が一段落しましたら、郡市医師会会員の皆さんとの身近な対話を再開いたします。
 県医師会は山口県の医療がよくなるように着実に歩を進めていく所存です。

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