訪問看護ステーション・休日診療所」の設立要望書

                          平成9年3月1日
玖珂町町長  
 小林 タ星兒殿
                            
                玖珂町医師団 (玖医会)・周東町医師団 (互尚医会)
                玖珂郡医師会 会長       藤政志朗
                       地域医療担当理事 吉岡春紀

      玖西地区 「訪問看護ステーション・休日診療所」の設立要望書

 早春の候、貴下、益々ご健勝のこととお喜び申し上げます。
 平素より住民の医療福祉にはご配慮いただいておりお礼申し上げます。
 さて、益々すすんで行く高齢化時代に、高齢者や障害者への在宅介護が必要なことは言うまでもありません。地域保健法が4月から施行されますと保健所法が地域保健法となり、はっきりと権限が市町村に委譲されることになります。それだけに住民に対してはこれから市町村の責任が大きくなり、我々地域医師会も協力する必要があると考えております。
 在宅医療の推進の立場より、医療制度も慢性疾患患者さんへの訪問診療、訪問看護へと変化が見られています。現在、地元地域でも多くの病院、診療所で独自のシステムで訪問診療や訪問看護に取り組んでいます。
 一方山口県地域医療保健計画では、訪問看護の基地となる訪問看護ステーションの設置が掲げられており、岩国医療圏内の平成11年度整備目標は8施設となっています。
 各市町村に訪問看護ステーションの設置が望まれていますが、この訪問看護ステーションの位置づけについては、まだ不明確の部分が多く今後も検討の余地があります。
 訪問看護ステーションはかかりつけ医の指示によりステーションの看護婦が訪問看護を行うシステムですので、特に民間の医療機関に付属する訪問看護ステーションについては、独自に訪問診察・看護を行っているかかりつけ医療機関との話し合いや了解がないと患者さんにも、地域の在宅医療にも混乱を招く恐れがあります。他方、公的機関による訪問看護ステーションでは、すでに実施されているホームヘルプサービス(ホームヘルパー派遣)等との連携や調整も、より充実したものになると思われます。また、かかりつけ医が関与できない訪問看護ステーションでは何の意味も持ちません。
 玖珂郡医師会としては、医師会立の訪問看護ステーションの設立は財政的にも人員的にも困難です。しかし、市町村などの公的な医療施設や団体に付属する訪問看護ステーションの設立には積極的に支援をし、在宅医療の推進に協力する方針です。
 そこで玖珂郡医師会と致しましては玖珂町医師団・周東町医師団とも連係を保ち、玖珂町・周東町の両町で「玖西地区訪問看護ステーション」の設立をお願いいたしたく要望いたします。
 また、訪問看護ステーションが設立されるならば出来れば同時に、この建物を利用した「玖西地区休日診療所」の設置もご検討いただければと考えます。
 玖西地区の休日診療は、現在地区の全医療機関が当番制で診療を行っていますが、輪番性のため施設の診療内容、地域性など受診者にとって不便があることも事実です。県内の多くの市町村で休日診療所の設置がすすんでおり、確実に休日に診療の出来る休日診療所の設置は玖西地区住民にとっても安心できる施設となるものと考えます。
 まず両町、玖珂郡医師会、両町医師団、議会などのメンバーによる設立の準備委員会での検討が望まれます。
以上ご検討下さいますよう要望いたします。

訪問看護ステーションの内容と解説
対象者
 疾病、負傷などにより家庭において寝たきり又はこれに準ずる状態にある老人患者で、
 かかりつけの医師が必要と認めた者。
実施機関
 地方公共団体、医療法人、社会福祉法人、その他厚生大臣が定める者(公的医療機関、
 地域の医師会、看護協会、医療法人など)が実施機関として申請し認可を受ける。
内容
 かかりつけの医師が発行する老人訪問看護指示書にもとずいて、看護婦等が訪問して
 在宅において介護に重点をおいたサービスを提供する。
費用の支払い
 訪問看護ステーションは市町村長より老人訪問看護療養費の支払いと利用者より利用料
 の支払いを受ける。
 医師の訪問看護ステーションに対する指示に対しては、老人診療報酬から
 訪問看護指示料 250点/月が支払われる。
 老人訪問看護療養費
  老人訪問看護基本療養費 1人につき週2回を限度 4.200-4.700円
  老人訪問看護管理療養費 1人につき月1回
   月訪問回数1回  2.400円  2-3回   4.960円 4-5回 10.160円
        6-7回 14.940円 8回以上 20.000円
 利用料
  患者さんは1回の訪問につき 250円を支払う。
  時間超過差額、休日サービス、別途。

 町の福祉政策の一つとなる
 これらの療養費は市町村長より老人訪問看護療養費の支払いとして訪問看護ステーションに 支払らいますが、行政立(町)のステーションなら行政からの出費が再び行政に戻ってくることになりむしろ福祉費の出費が町にフィードバックされ、大きな赤字にもならず行政の福祉政策となります。
 民間立訪問看護ステーションの問題点
 1.かかりつけ医の診療所で訪問看護に必要な看護婦などの派遣が困難な場合にはかかりつけ医は訪問診察だけ行いステーションから看護婦の派遣を要請できるメリットがあるが、民間病院の訪問ステーションでは施設の診療方針、看護婦の資質、看護の方法については知ることが出来難い。
 2.地域の公的なステーションならば医師会との話し合いもでき、お互いの注文、要望など具体的な改善もできますが、民間併設のステーションではその施設の考え方も不明で医師側の要求も出来難くい。
 3.設置場所も地域の中心にないと利用しにくい。
 4.在宅患者の民間施設への流出が懸念される。現在のディケア・ディサービスの様にかかりつけ医を離れ患者が設置施設に移る可能性がある。


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