子どもの熱性けいれん
宇部市医師会小児科医会
あわてず大声出さない
体温測り熱の有無確認
熱性けいれんは、15人に一人位の率でおこりますので、先のインフルエンザ流行期には多数の子どもがけいれんを起こしました。初めてけいれんを起こした場合、殆どの親御さんはパニックになられます。
*** 熱性けいれんとは ***
生後5,6ヶ月〜D,6歳位までの子どもが、頭蓋骨内の痛気以外の病気が原因で発熱したときに起こるけいれんのことです。その特徴は
@ 体温が急激に上昇するときに起こりやすい。そのため、大部分のけいれんが発熱後24時間以内に起こります。けいれんを起こして初めて発熱に気ずくこともあります。
A 親や兄弟姉妹が過去に熱性けいれんをおこしていることが多い。今日では関連する遺伝子座が四つ報告されています。
B けいれんは左右対称に起こり、その持続時間は大抵5分以内(おおくは1,2分)です。嘔吐(おうと)を伴うことがあります。けいれんが止まると意識ははっきりします
C けいれんの回数は、子どもによりまちまちです。大多数は1,2回ですみます。
**** 熱性けいれんが起こったときの対処 ***
@ あわてない。大声で名前を呼んだり、ほっぺをたたいたり、体をゆすったりしない。上の歯(歯茎)と下の歯(歯茎)の間に物をかませない。口の中に物をいれることは、吐物の誤飲や窒息から死の危険を招く危険性があります。
A 体温を測り、熱の有無を確認する。体温が38度未満だとけいれんの原因としては、熱性けいれん以外のものを考える必要があります。
B けいれんが5分以上続く場合は、医療機関に受診しましょう。
C けいれんが5分以内に止まっても、意識が戻らないときや再びけいれんが起こるときも受診しましょう。
D けいれんが5分以内にとまり、意識も戻ったときは、急ぐ必要はありません。発熱の原因を明らかにし、その治療のために受診します。夜間の場合は、翌朝の受診でよいでしょう。
E また起こるのではないかと大変不安なときは、ジアゼパム座剤が手元にあれば使っても良いでしょう。解熱剤よりもけいれん予防効果は確実です。
*** 熱性けいれんの予防 ***
{対象}熱性けいれんを過去に2,3回以上起こした4,5歳までの子ども
{ジアゼパム座剤の投与の仕方}
1回目・・・体温が37.5度以上であれば、すぐに所定量を肛門に挿入
2回目以降・・・8時間後にまだ熱があれば、追加挿入
以上の方法により、約36時間けいれんを予防できます。通常3回目は必要としません
1,2分間の熱性けいれんを何度も起こすよりも、けいれん重積といって、けいれんが30分または60分以上続くことのほうが、重大問題です。けいれん重積は将来のてんかんを含めた脳障害の原因となるので、その予防は大切です。