乳がん

宇部市医師会外科医会


乳癌には月に一度の自己検査の実施と年1回の集団検診等の受診を!!


平成12年の日本の主要死因(人口10万対)の第一位『癌』のなかで男女別死因ベスト4は、男;1位肺癌、2位胃癌、3位肝臓癌、4位大腸癌。女;1位胃癌、2位肺癌、3位大腸癌、4位乳癌です。

乳癌による年齢調整死亡の推移は昭和40代より上昇しており、癌死亡全体の7.9%(平成12年)となっております。死亡率を低下させるにはやはり早期発見早期治療が重要かと思われます。

現在乳癌の発見動機は自己検診が大部分を占めています。しかし乳癌の大きさが2・(一円玉の大きさ)以下になりますと検診や人間ドッグによるものが大部分を占めてきます。したがって自己検診の更なる普及(月一回必ず行う)のみならず検診等発見乳癌を増やすことが早期発見につながります。

では自己検診はどのような方法ですれば良いのでしょうか?大部分の乳癌は『しこり』で見つかります。また乳頭からの異常分泌(血液様やチョコレ-ト様)や、えくぼ症状(しこりをつまむと皮膚中央にかん凹が出来る)を伴う事もあります。このため良く視る触る事が重要です。方法は座位で鏡をみながら両手を少しずつ挙げ皮膚のひきつれやえくぼ症状等の有無の確認、次ぎに反対の手を平らに当て乳房全体を円を書くように触り、しこりの有無を確認、仰向けになり更に乳房を縦半分に分け半分づつ外側から内側へ上から下へ触りしこりの有無を再確認します。この時異常分泌に注意が必要です(ミルクならほぼ大丈夫ですが念のため受診して下さい)。また乳癌には出来やすい場所があります。乳房を乳頭を中心に4分割にすると、外側上、内側上、外側下、内側下(乳輪下とほぼ同等)の順になります。更に乳癌にはハイリスクグル-プが指摘されています。それは1:年齢(最重要と考えられている)40〜50歳代の閉経期前後。2:未婚、未産、高齢(35歳以上)初産。3:早い初潮(11歳以下)遅い閉経(55歳以上)。4:肥満。5:乳癌の既往。6:乳癌家族暦(特に母親、姉妹)です。

不幸にもしこりが触知したならば、直ぐ外科等を受診して下さい。なぜならしこり=乳癌とは限らず次のような良性のしこり(代表的なもののみ抜粋)もあるからです。1.乳腺症:30〜40歳代の月経時に多く、境界が不鮮明なしこりで多くは痛みを伴う。2.繊維腺腫:25〜35歳代(中学生頃に見られる事あり)消しゴムくらいの硬さで境界鮮明で球のようでくりくり良く動く、ほとんど痛くないしこり。では乳癌はと言いますと40〜50歳代、硬く動きにくく、早期では痛くない事が多い(更に前述のハイリスクの方々)。

では病院でどのような検査でしこりの『良』と『悪』を診断するのでしょうか?1.視診*触診。2.超音波検査。3.血液検査(腫瘍マ-カ-測定等)。4.マンモグラフィ-(乳房のレントゲン。乳管内に造影剤をいれ乳管造影を行う事あり)。5.CTやMRI検査。6.乳管内視鏡検査。7.生検*細胞診検査(しこりを切除または針を使い細胞を採取し顕微鏡で調べる)等です。(注;4〜6の検査は行ってない所もあり)。

これらを総合的に診て(確定診断は顕微鏡検査)万が一乳癌であったなら!現在乳癌の治療として以下のものがあります。1.化学療法(抗癌剤)。2.放射線療法。3.ホルモン療法(外科的に女性ホルモンの量を減らす方法と、抗女性ホルモン投与の2通り)。4.外科(手術)療法:乳房切除術や乳房温存術(しこりが2〜3・以下で部位や進展状態によるが2・以下であればほぼ可能、化学療法や放射線療法の併用が必要な事あり)等で、これらを組み合わせて行う事が多いのです。

しかし外科的切除が大原則かと思います。なにはともあれ早期発見早期治療!そのため月に一度の自己検査の実施と年1回程度の集団検診等の受診(特に50歳以上では2年に一回程度のマンモグラフィ検査を!)を必ず行う事です!!

今回は女性だけの事で関係ないと思っている男性のみなさん!全乳癌のなかで約0.4%は男性です。男性の集団検診等はないので『しこり』を触知するなら直ぐ受診して下さい。なお乳癌集団検診は300円です。おきがるにおこし下さい。(対象者の方は市保健センタ-より受診券が送付されていると思います。詳しくは市保健センタ-まで。電話0836-31-1777)