小児の夜尿症について

鈴木小児科医院
鈴木 康夫


夜尿症の児のエピソードとして、
「小学校になっても夜尿があるお子さんは、そのまま高学年になってしまうと学校の宿泊行事がある時に参加したくない」と言いだしたりすることがあり、子どもや親の悩みは深刻なことがあります。
以下、夜尿の定義、検査、治療、日常生活対策について説明します。

定義
夜尿とは、5歳以上の小児の就眠中の間欠的尿失禁(おねしょ)で、1か月に1回以上のおねしょが3か月以上続くものとなっています。

頻度
子どもの夜尿の頻度は、小学校入学時には10〜20%程度と考えられ、小学校高学年では、約5%にみられます。

病態
夜尿は、1.夜眠っている間につくられる尿の量と、2.その尿をためる器(膀胱)の大きさとのバランスがとれていないために起こります。

タイプ
1.多尿型、2.膀胱型、3.混合型があります。
1.,多尿型は、一晩の尿量が250cc以上ある場合を多尿型と言い、夜間の尿量が多くて夜尿をしてしまいます。
2.膀胱型は、夜間の尿量は少ないのに膀胱が小さいため夜尿をしてしまいます。
3.混合型は、1.と2.を併せ持つタイプです。
タイプの見分け方
夜間尿量、がまん尿量(おしっこがしたいギリギリまでがまんして尿量を測定)を測定して、タイプを分けます。

いつまで続きやすいか?
基本的には第二次性徴を迎える12歳を過ぎる頃には、夜尿は見られなくなることが多いですが、成人まで続くこともあります。
自然治癒率は、年齢が1歳上がるごとに10〜15%程度といわれています。
生活の基本原則として
起こさず、あせらず、おこらず、です。
夜尿がなかった朝は、たくさんほめるようにしましょう。

日常生活でできる対策は?
*排尿させるために無理やり夜中に起こさない
*水分の取り方、朝、昼は多く、夕方から制限、夕食は早めにする(5時ごろ)
*規則正しい生活のリズムを確立
*寒さ(冷え性)への対策
*おしっこのがまん訓練

医療機関に受診する目安は?
 1.5〜6歳以上になっても夜尿が続く場合
 2.夜尿に加えて昼間におしっこやウンチを漏らす場合
 まず生活習慣の対策を行なってみて、改善がなければ、医療機関にご相談してみてください。

医療機関で実施する検査は?
 1.尿検査
 2.血液検査
 3.超音波検査 など

治療は?
*薬物療法
 1.抗利尿ホルモン薬(内服・点鼻薬)
 2.抗コリン薬(内服)
 3.三環系抗うつ薬
 4.漢方薬
*アラーム療法

お泊まり対策!
*一時的な対処法として、夜中にそっと起こしてもらう。
*いちばん効いた薬を持っていく。
*夕方から水分をあまりとらないようにする。
*パジャマのズボンは厚手で濃い色にする。