乳がん検診について
ささい放射線科
小野田 秀子
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図1
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図2
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図1の画像は高濃度乳腺のマンモグラフィ画像です。左上方に腫瘍が存在しますが、乳腺組織が豊富で白色に映るため、腫瘍が重なって指摘が困難となっています(石灰化も映っていますが、こちらは良性の石灰化です)。一方、図2はエコ―画像ですが、乳腺組織が白色に対して腫瘍は黒っぽく描出されるため、乳腺組織が豊富な場合も明瞭に描出することが可能です。またマンモグラフィ検査はX線を使った検査ですが、1回の撮影で乳房が受ける放射線量は0.15ミリシーベルト程度です。1年間に受ける自然放射線量は約2.4ミリシーベルト程度なので、ほとんど健康被害はありません。また、放射線被ばくによる白血病の発生、不妊症、胎児への影響なども心配ありません。実際マンモグラフィのみの検診と超音波検査も併用する検診を比較した研究で、超音波検査を行うことでがんの発見率が上がるという結果が報告されています。そのため、がんを早期に発見するためには、マンモグラフィ検査のみではなく、超音波検査も併せて受けることが勧められます。
また当院に乳腺の検査を受けに来られる方の症状として多いのが、しこりと乳房痛があります。しこりについてはのう胞などの良性の変化の他、乳がんが原因のこともあり、しこりを自覚された方はすぐに受診して調べることをお勧めします。一方で乳房痛は乳腺炎などが原因なこともあるものの、調べても特に異常所見がないことが多く、がんが原因のことはほとんどありません。女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンの濃度の変化が乳房の痛みの原因になると言われています。ホルモンの血中濃度は、月経の直前、月経中や妊娠中に上昇しますが、乳腺と乳管が拡張して、乳房に体液が保持されます。そのため、乳房が張り、痛みを伴うと言われています。月経周期に関連する痛みは、数カ月から数年にわたって現れたり消えたりすることがあります。経口避妊薬の使用や閉経後のホルモン療法によっても、ホルモンの血中濃度が上昇し、同様の痛みが生じることがあります。心配な方は診察に受診されることで検診の良いきっかけになるかと思うので、1度検査を受けてください。
当院でも今後、山口県の乳がん・子宮がんの検診率が上がるように努めていきたいと思います。どんなきっかけでも良いので、今年はぜひ検診を受けてください!