参考〜解雇等に関する裁判例〜
以上のような労働基準法等の定めに反しなけれぱ、事業主が解雇を自由に行い得るというわけではありません、
裁判所では、解雇について、合理的な理由を欠き、社会通念条上相当でない場合には無効とされており、また、雇用調整のために行われる整理解雇についても、一定の要件が必要であるとされています。
繰り返し更新されてきた短期の労働契約を更新しないこととするいわゆる「雇止め」について、実態によっては解雇の場合と同様に判断するとされた裁判例もあります。
さらに、出向のうち労働契約関係を終了させて新たな労働契約関係を成立させることになるいわゆる「転籍出向」(移籍出向)については、労働者の同意が必要であるとされています。
代表的な裁判例としては、次のようなものがあります。
1 解雇が無効とされた例
「使用者の解雇権の行使も、それが客観的に合理的な事由を欠き社会通念上相当として是認することができない場合には、権利の濫用として無効になると解するのが相当である。」
(最高裁第二小法廷…昭和43年(オ)第499号 昭和50年4月25日判決)
2 整理解雇の要件が示された例
整理解雇をする場合には、
@ 人員削減の必要性(特定の事業部門の閉鎖の必要性)
A 人員削減の手段として整理解雇を選択することの必要性(配置転換などをする余地がをいか)
B 解雇対象者の選定の妥当性(選定基準が客観的、合理的であること)
C 解雇手続の妥当性(労使の協議など)
が必要であるとされた。
(東京高裁…昭和51年(ネ)第1028号 昭和54年10月29日判決、最高裁第一小法廷…昭和55年(テ)第4号 昭和55年4月3日判決等)
3 雇止めについて解雇と同様に判断するとされた例
「本件各労働契約は、期間の満了毎に当然更新を重ねてあたかも期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態で存在していたものといわなければならず、本件各雇止めの意志表示は右のような契約を終了させる趣旨のもとにされたのであるから、実質において解雇の意思表示にあたり、本件各雇止めの判断に当たっては解雇に関する法理を類推すべきである」
(最高裁第一小法廷…昭和45年(オ)第1175号 昭和49年7月22日判決)
4 転籍について労働者の同意が必要であるとされた例
「労働契約の一身専属性にかんがみ、労働者の承諾があってはじめて転属が効力を生ずる」
(最高裁第一法廷…昭和43年(オ)第1122号 昭和48年4月12日判決)
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