特例措置対象事業場における所定労働時間週44時間を達成する方法


 週の所定労働時間を44時間以下とする方法には、一般的なものとして次の3通りがあります。

1.各週ごとに短縮する方法

 週休2日制や半休制をとりいれたり、もしくは全部または一部の日の所定労働時間を短くすることにより、各々の週の所定労働時間がいずれも44時間以下となるようにする方法です。

2 一定の期間を平均する方法

 次の2種類があります。

3.フレックスタイム制をとる方法

 フレックスタイム制とは、1日の勤務時間を職員にまかせる方法ですが、該当が少ないと思われますので、説明は省略します。


・ 具 体 例

1.各週ごとに短縮する方法

例1 所定労働時間を7時間20分とする方法

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
             
             
             
             
             
             
             
  7:20 7:20 7:20 7:20 7:20 7:20


例2 所定労働時間を原則7時間30分とし、1日だけ6時間30分とする方法

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
       
 
 
   
             
             
             
             
             
             
  7:30 7:30 7:30 6:30 7:30 7:30

例3 所定労働時間を原則7時間30分とし、2日だけ7時間00分とする方法

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
             
             
             
             
             
             
             
  7:30 7:30 7:30 7:00 7:30 7:00

例4 所定労働時間を原則7時間40分とし、1日だけ5時間40分とする方法

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
             
       
 
 
   
             
             
             
             
             
  7:40 7:40 7:40 5:40 7:40 7:40

例5 所定労働時間を原則7時間40分とし、2日だけ6時間40分とする方法

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
       
 
 
 
 
 
 
 
             
             
             
             
             
             
  7:40 7:40 7:40 6:40 7:40 6:40

例6 所定労働時間を原則8時間00分とし、1日だけ4時間00分とする方法

             
             
             
             
             
             
             
             
  8:00 8:00 8:00 4:00 8:00 8:00

例7 所定労働時間を原則8時間00分とし、2日だけ6時間00分とする方法

             
             
             
             
             
             
             
             
  8:00 8:00 8:00 6:00 8:00 6:00

2 一定の期間を平均する方法

1.1か月以内の期間を平均して、1週あたりの所定労働時間を44時間以下とする方法

 1か月以内の一定期間を平均し、1週あたりの労働時間が44時間を超えない範囲内であれば、ある特定の日の所定労働時間が8時間を超えていても、または、ある特定の週の労働時間が44時間を超えていても法違反となりません。 (このような制度を1か月単位の変形労働時間制といいます。)

 原則として18歳未満の者には変形労働時間制は適用できませんが、1週の所定労働時間が48時間を超えることがなく、かつ1日の所定労働時間が8時間を超えることがなければ、15歳(15歳となった年度末までを除く)以上18歳未満の者についても適用することができます。

 妊産婦が請求した場合は、所定労働時間内であっても、1週40時間、1日8時間を超える時間の全部又は一部について労働させることはできません。

 育児を行う者、老人等の介護を行う者、職業訓練又は教育を受ける者その他特別の配慮を要する者については、これらの者がそれらに必要な時間を確保しなければなりません。

1か月単位の変形労働時間制を採用するには、次の2つの方式によらなければなりません。

1 就業規則方式

 就業規則(常時使用労働者数が10人未満の場合は、就業規則に準ずるものでもよい)により、次の事項を定める方式

1か月以内の一定期間(これを対象期間といいます。)を平均し、1週あたりの労働時間が44時間を超えない旨の定め。
対象期間及び対象期間の起算日
対象労働者の範囲
対象期間の各日の始業・終業時刻
休憩時間、休日その他

2 労使協定方式

 労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合

 労働者の過半数で組織する労働組合がない場合は、労働者の過半数を代表する者と書面により次の事項を協定し、所轄労働基準監督署長に届け出する方法

就業規則方式の記載事項アからオまでのすべて
労使協定の有効期間

● 各日の所定労働時間を一定とした1か月単位の変形労働時間制

 1日の所定労働時間を上欄の時間としますと、その月の暦日数に応じ、下欄の休日数を与えれば、1週あたり44時間以下となります。

暦日数

一日の所定労働時間

8:00 7:55 7:50 7:45 7:40 7:35 7:30 7:25
31 7日 7日 7日 6日 6日 6日 6日 5日
30 7日 7日 6日 6日 6日 6日 5日 5日
29 7日 6日 6日 6日 6日 5日 5日 5日
28 6日 6日 6日 6日 6日 5日 5日 5日

(注)休日は各週につき1日以上、または、4週を通じ4日以上与える必要があります。

計算式

所定労働時間8時間で31日の月の場合

31日÷7日=4.428(週数)
44時間(法定労働時間)×4.428週=194.832時間(当月の限度時間)
194.832時間÷8時間(所定労働時間)=24.354日
    ∴=24(限度労働日数)
31日−24日=7日(必要休日日数)

例1 所定労働時間を1日8時間とし、隔週週休2日制とする方法

1週目

             
             
             
             
             
             
             
             
  8:00 8:00 8:00 8:00 8:00 8:00

2週目

             
             
             
             
             
             
             
             
  8:00 8:00 8:00 0:00 8:00 8:00

就業規則等記載例

第○条 1週の所定労働時間は、平成13年1月7日(日曜日)を起算日として2週間ごとに平均して、1週あたり44時間以内とする。
1日の所定労働時間は8時間とする。
始業、終業の時刻及び休憩時間は、次のとおりとする。ただし、業務の都合その他やむをえない事情によりこれらを繰り上げ、または繰り下げることがある。

始業時刻  8時00分
終業時刻  18時00分
休憩時間  12時00分から2時間

第○条 休日は次のとおりとする。
1. 日曜日
2. 平成13年1月7日から起算した2週 イとにおける第2週目の木曜日
3. 年末年始 12月 日から1月 日まで
4. 夏季休暇 8月 日から8月 日まで
業務の都合により必要やむをえない場合は、あらかじめ前項の休日を同一週内の他の日と振り替えることがある。
第○条 前2条は、パートタイマーを除く全職員に適用する。

例2 所定労働時間を1日7時間40分とし、1ヵ月あたり6日制とする方法

就業規則等記載例

第○条 1週の所定労働時間は、暦月を平均して1週あたり44時間以内とする。
1日の所定労働時間は、7時間40分とする。
始業、終業の時刻及び休憩時間は、次のとおりとする。ただし、業務の都合その他やむをえない事情によりこれらを繰り上げ、また繰り下げることがある。

始業時刻  8時20分
終業時刻  18時00分
休憩時間  12時00分から2時間

第○条 休日は次のとおりとする。
1. 日曜日
2. 国民の祝祭日
3. 年末年始 12月 日から1月 日まで
4. 夏季休暇 8月 日から8月 日まで
5. 前各号による休日数が6日に満たない暦月については、それが6日となるまで、第5土曜日、第4土曜日、第3土曜日の順にこれを休日とする。
業務の都合により必要やむをえない場合は、あらかじめ前項の休日を同一週内の他の日と振り替えることがある。
第○条 前2条は、パートタイマーを除く全職員に適用する。

● 半休制を取り入れた1か月単位の変形労働時間制

 1か月に1日、半休(当日4時間の労働時間短縮のこととします。)を与えた場合の1日の所定労働時間別必要休日数

暦日数

一日の所定労働時間

8:00 7:55 7:50 7:45 7:40 7:35 7:30 7:25
31 7日 6日 6日 6日 6日 5日 5日 5日
30 6日 6日 6日 6日 5日 5日 5日 5日
29 6日 6日 6日 6日 5日 5日 5日 4日
28 6日 6日 6日 6日 5日 5日 4日 4日

(注)休日は各週につき1日以上、または、4週を通じ4日以上与える必要があります。

例3 所定労働時間を1日7時間45分とし、1か月に1日、半休(当日4時間の労働時間短縮のこととします。)を与え、1か月あたり6休(2月は5休)制とする方法。

就業規則等記載例

第○条 1週の所定労働時間は、暦月を平均して1週あたり44時間以内とする。
1日の所定労働時間は7時間45分とする。ただし、暦月の第1木曜日は、3時間45分とする。
始業、終業の時刻及び休憩時間は、次のとおりとする。ただし、業務の都合その他やむをえない事情によりこれらを繰り上げ、または繰り下げることがある。

始業時刻  8時15分
終業時刻  18時00分
(ただし、暦月の第1木曜日は、12時00分)
休憩時間  12時00分から2時間

第○条 休日は次のとおりとする。
1. 日曜日
2. 国民の祝祭日
3. 年末年始 12月 日から1月 日まで
4. 夏季休暇 8月 日から8月 日まで
5. 前各号による休日数が6日(2月は5日)に満たない暦月については、それが6日(2月は5日)となるまで第5土曜日、第4土曜日、第3土曜日の順に、これを休日とする。
業務の都合により必要やむをえない場合は、あらかじめ前項の休日を同一週内の他の日と振り替えることがある。
第○条 前2条は、パートタイマーを除く全職員に適用する。

● 1か月に2日の半休制を取り入れた1か月単位の変形労働時間制

 1ヶ月に2日、半休(当日4時間の労働時間短縮のこととします。)を与えた場合の1日の所定労働時間別必要休日数

暦日数

一日の所定労働時間

8:00 7:55 7:50 7:45 7:40 7:35 7:30 7:25
31 6日 6日 6日 5日 5日 5日 4日 4日
30 6日 6日 5日 5日 5日 5日 4日 4日
29 6日 5日 5日 5日 5日 4日 4日 4日
28 5日 5日 5日 5日 4日 4日 4日 4日

(注)休日は各週につき1日以上、または、4週を通じ4日以上与える必要があります。

例4  所定労働時間を1日7時間45分とし、1か月に2日半休(当日4時間の労働時間短縮のこととします。)を与え、1か月あたり5休制とする方法。

就業規則等記載例

第○条 1週の所定労働時間は、暦月を平均して1週あたり44時間以内とする。
1日の所定労働時間は7時間45分とする。ただし、暦月の1木曜日、第3木曜日は、3時間45分とする。
始業、終業の時刻及び休憩時間は、次のとおりとする。ただし、業務の都合その他やむをえない事情によりこれらを繰り上げ、または繰り下げることがある。

始業時刻  8時15分
終業時刻  18時00分
(ただし、暦月の第1木曜日は、第3木曜日は12時00分)
休憩時間  12時00分から2時間

第○条 休日は次のとおりとする。
1. 日曜日
2. 国民の祝祭日
3. 年末年始 12月 日から1月 日まで
4. 夏季休暇 8月 日から8月 日まで
5. 前各号による休日数が5日に満たない暦月については、それが5日となるまで第5土曜日、第4土曜日の順に、これを休日とする。
業務の都合により必要やむをえない場合は、あらかじめ前項の休日を同一週内の他の日と振り替えることがある。
第○条 前2条は、パートタイマーを除く全職員に適用する。

● 交替勤務制による1か月単位の変形労働時間制

例5 交替勤務制による1ヵ月単位の変形労働制

就業規則等記載例

第○条 1週の所定労働時間は、暦月を平均して1週あたり44時間以内とする。
1日の所定労働時間は、8時間00分とする。
勤務は日勤、準夜、深夜の3交替制とし、それぞれの始業、終業の時刻及び休憩時間は、次のとおりとする。ただし、業務の都合その他やむをえない事情によりこれらを繰り上げ、または繰り下げることがある。

日勤
始業時刻  8時00分
終業時刻  17時00分
休憩時間  12時00分から1時間

準夜
始業時刻  16時00分
終業時刻  1時00分
休憩時間  20時00分から1時間

深夜
始業時刻  0時00分
終業時刻  9時00分
休憩時間  4時00分から1時間

各職員の当月の勤務割は前月末までに決定し、勤務割表にて通知する。
第○条 休日は、暦月において7日(閏以外の2月は6日)とする。ただし、この休日の付与にあたっては、各週につき1日以上の休日が確保されるものとする。
業務の都合により必要やむをえない場合は、あらかじめ前項の休日を同一週内の他の日と振り替えることがある。
第○条 前2条は、パートタイマーを除く全職員に適用する。

勤務割表(各人ごとに前月末までに作成)

氏名

殿


13

1

 
   
10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31             時間
1 1 2 3 2 0 1 10 80
1 1 2 1 1 1 1 8 64
0 2 0 0 0 2 2 6 48
2 1 1 1 1 1 0 7  
限度時間、31=194.8、30=188.5、29=182.2、28=176 合計 31 192

2.1年以内の期間を平均して1週あたりの所定労働時間を40時間以下とする方法

 1年以内の一定期間(対象期間といいます。)を平均し、1週あたりの労働時間が40時間(特例事業場であっても44時間ではなく40時間が適用されます。)を超えない範囲内であれば、ある特定の日の所定労働時間が8時間を超えていても、または、ある特定の週の労働時間が40時間を超えていても法違反となりません。(このような制度を1年単位の変形労働時間制といいます。)

 ただし、1年単位の変形労働時間制を採用する場合は、1か月単位の変形労働時間制と異なり、さらに次のような制約があります。

@ 対象期間が3か月を超える場合は、所定労働日を1年あたり280日以下とすること。
A 1日の所定労働時間は、10時間以下とすること。
B 1週の所定労働時間は、52時間以下とすること。
 ただし、対象期間が3か月を超える場合は、所定労働時間が48時間を超える週は連続3回以内、かつ、対象期間を3か月ごとに区分した各期間において、48週を超える週の初日が3回以内となること。
C 連続労働日数6日以内 ただし、労使協定で特定期間を設ければ、連続労働日数12日以内
D 次の事項について労使協定を締結し、所轄監督署に届け出ること。

1年以内の一定期間(これを対象期間といいます。)を平均し、1週あたりの労働時間40時間を超えない旨の定め。

対象期間及び対象期間の起算日
対象労働者の範囲
対象期間の各日の始業・終業時刻
休憩時間、休日その他
 ただし、対象期間の全期にわたって当初から労働日の特定と各労働日の労働時間を決められない場合は、対象期間を1か月ごとに区分し、当初最初の1か月について具体的に定め、残りの期間は区分ごとの労働日数と総労働時間のみを決めておき、各区分が始まる30日前までに労働日の特定と各労働日の労働時間を明示する方法もあります。
労使協定の有効期間

 なお、原則として18歳未満の者には変形労働時間制は適用できませんが、1週の所定労働時間が48時間を超えることがなく、かつ1日の所定労働時間が8時間を超えることがなければ、15歳(15歳となった年度末までを除く)以上18歳未満の者についても適用するとができます。

 妊産婦が請求した場合は、所定労働時間内であっても1週40時間、1日8時間を超える時間の全部又は一部について労働させることはできません。

育児を行う者、老人等の介護を行う者、職業訓練又は教育を受ける者その他特別の配慮を要する者については、これらの者がそれらに必要な時間を確保しなければなりません。

1年を対象期間とした変形労働時間制における1日の所定労働時間に応じた必要休日数(下欄は労働日数)

区分

一日の所定労働時間

8:00 7:55 7:50 7:45 7:40 7:35 7:30 7:25
平年 105日 102日 99日 96日 93日 90日 87日 85日
260日 263日 266日 269日 272日 275日 278日 280日
閏年 105日 102日 100日 97日 94日 91日 88日 86日
261日 264日 266日 269日 272日 275日 278日 280日

例1 日の所定労働時間を8時間とし1年に休日を105日与える方法

就業規則等記載例

第○条 1週の所定労働時間は、暦年を平均して1週あたり40時間以内とする。
1日の所定労働時間は8時間00分とする。
始業、終業の時刻及び休憩時間は、次のとおりとする。ただし、業務の都合その他やむをえない事情によりこれらを繰り上げ、または繰り下げることがある。

始業時刻  8時00分
終業時刻  18時00分
休憩時間  12時00分から2時間

第○条 ・日曜日
・第1土曜日、第2土曜日、第4土曜日
・国民の祝祭日
・年末年始  12月 日から1月 日まで
・夏季休暇  8月 日から8月 日まで
・前各号による休日数が年間105日に満たない場合は、それが105日となるまで休日を与える。この休日の期日は、当該暦年が始まる前までに勤務割表により特定する。
業務の都合により必要やむをえない場合は、あらかじめ前項の休日を同一週の他の日と振り替えることがある。
第○条 前2条は、パートタイマーを除く全職員に適用する。

宇部市医師会
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