2006年スギ花粉飛散予測
山口県における2006年のスギ花粉飛散総数の予測と2005年シーズンの反省
県医師会花粉情報委員 沖中 芳彦
昨年(2005年)のスギ花粉飛散は、県内26測定機関の平均値として3500〜4000個/cm2で、それに続くヒノキ科花粉も多くなると予測しました。これに対し、実際のスギ飛散数は3750個/cm2、ヒノキ科花粉も測定史上最多となる2010個で、総数としては予想通りの結果となりました。スギの総数は平年の2倍強で、1995年、2001年に次ぐ3番目の総数でしたが、地域差が大きく、例年通り北部、東部で多く、西部では平年をわずかに上回る程度の飛散数でした。
総数では予測通りであった昨年のスギ花粉飛散ですが、花粉情報を提供する上でいくつかの課題を残しました。まず、暖冬との長期予報でしたので、飛散開始が早まると思われましたが、蓋を開けてみますと年明けから寒い日が続き、県内全域でコンスタントに飛散するようになったのは2月中旬以後で、結果的に例年よりもむしろ遅くなりました。その結果、ここ数年は2月末であったスギ花粉の最多飛散日が3月中旬になり、飛散も比較的短い期間に集中したためか、3月11日には光地区で1日の花粉数としては山口県での測定史上最多の約3100個を記録するなど、東部、北部を中心に多数のスギ花粉が飛散しました。
次に、飛散開始日の決定方法に関する問題です。飛散開始日は、全国的に統一された定義により、「1日1cm2あたり1個以上の花粉が2日連続観測された場合の最初の日」と決められております。昨年は1月11日に山口市の測定機関でこの定義に該当しましたが、あまりに早いために一度見送りました。しかし、山口市の別の測定機関で1月15日に再度定義に該当したため、同日をスギ花粉飛散開始日として、発表致しました。しかしながら、それ以後2月中旬まで、ごく少数の花粉しか捕集されず、スギ花粉症の方のなかには、「花粉が飛んでいるはず」なのに症状が出ないため、花粉症が治ったと思われた方や、せっかく始めた初期療法を止めてしまわれた方もおられたようです。「花粉飛散開始日」は、単に数値による定義ではなく、「以後連続的に花粉が飛散する」という意味を持つべきものと思いますので、今後はさらに飛散状況を見極めた上で、花粉飛散開始日を決定すべきと考えております。
さて、2006年のシーズンについてですが、筆者が従来から行っております、スギ雄花の着花状況からの予測では、県内26の花粉測定機関の最近数年間の平均値である1900個/cm2に対し、1500個程度、すなわち平年をやや下回る程度の飛散総数と思われます(図1)。ヒノキ科花粉の予測は依然困難ですが、スギと同様の傾向を呈することが多いようです。平年を下回ると申しましても、決して症状が軽くて済むという数字ではありません。セルフケアー、メディカルケアーを含め、充分な花粉対策は必要と思われます。
●過去のスギ花粉飛散開始日
平成17年1月15日
平成16年2月16日
平成15年2月6日
平成14年2月3日
平成13年2月15日
平成12年2月11日
平成11年1月25日
平成10年2月7日
平成9年2月5日
平成8年2月11日
平成7年2月13日
平成6年2月7日