かかりつけ医通信・その6 「黄砂と花粉症」
花粉症については毎年のようにテレビ、新聞、雑誌等で報じられますので、今回は黄砂(こうさ)の話をします。
スギ花粉は毎年2月から4月にかけて飛散しますが、黄砂は3月から5月にかけて、10月から11月にかけて飛散します。特に3月から5月、ひどいときには車のボンネットが黄色くなり景色がかすんで見えるほど飛びます。
それでは、黄砂とはいったいどこから飛んできて、どういった成分からできているのでしょう?
黄砂は中国内陸部やモンゴルの砂漠地帯、特にタクラマカン砂漠やゴビ砂漠から強風で大気中に舞い上がった砂塵のことで、偏西風に乗り朝鮮半島や日本、北米にまで運ばれます。黄砂の主成分はシリカ(二酸化ケイ素)やアルミなどで、これに排気成分やカビ、細菌が付着して日本まで飛んできます。
次に、黄砂はどのような症状を引き起こすのでしょう?
黄砂の大きさは、発生時は直径が70〜80μmですが、日本に飛んでくるものは3〜4μmです。これはスギ花粉(30μm)より小さく、そのため肺の奥にまで入り込みます。しかも黄砂の表面はガタガタしていて、スギ花粉症や喘息を悪化させたり、黄砂自体がアレルギー症状や呼吸器障害を引き起こしたりします。ちなみにスギ花粉は喘息や咳を引き起こすことはほとんどありません。従って、特に、花粉症や喘息のある人は黄砂に十分注意が必要です。
黄砂がアレルギーや呼吸器の病気を引き起こすことはわかりましたが、診断はどうするのでしょう?
花粉症かどうかは血液検査で簡単にわかりますが、残念ながら黄砂によるものかどうかの診断は現在のところ、「黄砂がひどいときに症状が悪化する」ということから推測するしかありません。自分の症状が黄砂の多いときに悪化しないか注意してみましょう。
今後、地球温暖化による砂漠化が進み中国の大気汚染が進むと、日本でもさらに黄砂による呼吸器障害が増えるかもしれません。北京ほどひどくはありませんが…。
光市医師会・医療保険担当理事
耳鼻咽喉科しみず医院・院長 清水敏昭