かかりつけ医通信 その7 「ロコモティブシンドロームについて」

 「ロコモティブシンドローム」は日本語で「運動器症候群」のことで、略して「ロコモ」と言います。ロコモとは、骨、筋肉、関節や、動きの信号を伝える神経などが衰えて、「立つ」・「歩く」といった動作が困難になり、要介護や寝たきりになってしまうリスクが高い状態です。

 先日、「長生きの敵は腰痛」という新聞記事が掲載されていました。日本では「腰痛症」が「健康で長生き」を妨げる疾患の第1位なのです。第2位の脳卒中や第3位の虚血性心疾患といった病気を押しのけていることに、驚かされました。さらに5位には、「その他筋骨格障害」が入っており、まさにロコモティブシンドロームが「健康で長生きの脅威」となっているのです。世界1位の長寿国と言っても、健康寿命が長くなければ誇ることができません。

 「ロコモ」の診断には「ロコモチェック」といって、7項目があげられています。1.買い物で2kgのものが持てない、2.家のやや重い仕事ができない(掃除機、布団上げなど)、3.家の中でつまずいたり、滑ったりする、4.片足立ちで、靴下がはけなくなった、5.階段を上がるのに手すりが必要だ、6.横断歩道を青信号で渡りきれない、7.15分間続けて歩くことができない。このうちの1項目でも当てはまれば、ロコモという診断になります。

 平成25年度には光市でも、65才以上の高齢者人口が30%を超えると予測されています。超高齢化社会を迎えて、ロコモティブシンドロームは、メタボリックシンドロームと並んで、新たな国民病であるといえます。

 この616日(日)午後1時より光市民ホールで、「加齢と共に忍び寄るロコモティブシンドローム〜元気で長生きするために」と題して市民公開講座が開かれます(無料)

(山口県医学会総会・光市医師会引き受け)。腰痛症など脊椎外科で、日本の整形外科を

牽引する山口大学医学部整形外科学教授の田口敏彦先生にお話ししていただきます。これからの国民病「ロコモ」を学び、予防策を身に着けるために、ぜひお出かけください。

              光市医師会長・平岡医院院長  平岡 博