かかりつけ医通信その8 

紫外線と眼―

 

 7月をピークに5月から9月は紫外線が強くなります。シミ・シワは女性にとっては大敵。紫外線対策で広いつばの帽子、夏場でも黒いアームカバーなど重装備で外出される方もよくみかけますね。屋外ではSPF(紫外線防御指数)PAUVA防御グレード)の程よいクリームをつけることも大事です。欧米や豪州では過度の紫外線曝露は皮膚癌の発症にも関与するといわれています。

紫外線は可視光線より波長が短いために散乱しやすく、長い距離には届きにくいために眼への影響は表面に多いとされてきました。長時間の溶接作業やスキーで遊んだ日の夜に眼が痛むのは紫外線が原因です。溶接作業では正面は保護具でカバーしていても隣の作業の紫外線が入ってくることもあります。

加齢現象といわれる「瞼裂斑(黒目の横の白目にある黄色い盛り上がり)」「翼状片(黒目の鼻側に伸びている翼状の盛り上がり)」「白内障(カメラに例えればレンズが濁ってくる)」は紫外線が一因とされています。前二者は写真を御覧下さい。翼状片は充血が強かったり、視力に影響するようだったら外来手術で切除します。瞼裂斑はほとんど手術をすることはありません。また最近、特に増えてきた「加齢黄斑変性(物が歪んで見えるのが初期症状)」も老化・たばこと共に紫外線が原因のひとつと考えられています。

ではどうして紫外線の眼への障害を予防したらよいでしょうか。紫外線カット(UVカット)の保護具・ゴーグル・眼鏡の装用が必須です。コンタクトレンズも最近は紫外線カットをするものがあります。原則的には紫外線カットの眼鏡レンズは透明で色は付いていません。もちろん、遮光のために幾分、ブラウンやブルーが入っているレンズもあります。注意すべきは遮光のために着色してあっても紫外線カットがされていないレンズがあるということです。この場合、光量が減るため瞳(瞳孔)が開き気味になり、眼鏡をかけていないときより、かえって紫外線が眼の中に沢山入ることになります。よく確認して購入しましょう。

眼科では紫外線は悪者になることがほとんどですが、角膜クロスリンキングという治療に使われることもあります。リボフラビン(ビタミンB2)の点眼と紫外線照射が円錐角膜(黒目の表面が尖って乱視が強くなる病気)の進行を遅らせます。屈折異常も軽減され視力が少し改善することもあります。ただし、現時点ではレーシックと同様に保険適応外です。

紫外線の功罪について書きましたが、日光浴が必要と夏場に甲羅干しをした時代は遥か昔となりました。最近は青い光も眼に有害ではと「ブルーライト研究会」も発足しています。青い光に関しては、また機会があれば・・・。

 

光市医師会医療情報システム担当・クリニック高橋眼科院長 高橋秀児

 

 

 

 

     

 

瞼裂斑              翼状片