第2回市民公開講座『高齢者の腰痛について』
日時:平成24年9月15日(土)午後2時より
場所:会場:光市総合福祉センター
(あいば−く光いきいきホール)
講師:光市立光総合病院 整形外科部長 桑田憲幸先生
今回は、前回希望の多かった腰痛症について40年間整形外科としての研鑽を積まれ、光総合病院の院長に就任された桑田憲章先生に高齢者の腰痛症についてお話しいただきました。会場はあいぱーくの一番広い部屋であるいきいきホールを使用させていただきましたが、前回以上に聴講者が多く椅子を急遽用意するほどでした。100人以上の高齢者の他に健康増進課の職員もお手伝いしていただき、大変ありがたいことでした。医師会員の河内山清先生もいらっしゃり、久々にかくしゃくたる姿を拝見いたしました。
内容は医学的な解剖の話から始まり、疫学や人間の体の仕組み、腰痛の起こる要因など広範囲にわたりました。
1.腰痛とは……
2.どれくらいの人が腰痛を持っている?
3.高齢者に特有な腰痛の原因
4.原因が特定できない腰痛
5.急性腰痛になったら
6.慢性腰痛の予防
7.慢性腰痛の腰痛体操
そもそも腰痛の起こる要因は腰部脊椎の弯曲が正常に保てない状態という話は慧眼でした。肥満体やあぐらを組んだ状態などはその弯曲が背部にそりすぎたり前弯状態になったりで、正常に保てない状況になります。また、普段の姿勢の問題で猫背になったりおなかが出すぎた状態だったりで、つねに腰部脊椎の負担が増強されます。普段から腰部の弯曲に気を配るように日常生活を送ることが肝要であることが理解できました。骨粗鬆症や腰部脊椎管狭窄症、脊椎圧迫骨折などの整形疾患だけじゃなく、細菌感染や腫瘍性疾患、腹部大動脈瘤でも腰痛が起こることを知らなくてはなりません。また、腰痛症のうち85%は原因が特定できないこと、急性の場合1〜2ヶ月で90%は快軽すること、腰痛があっても痛くない範囲で体を動かした方が治りが早いことなど、一般の方が聞いていて、とても役に立つお話が多かったように思いました。
大半の話がその予防に言及されたことは聴講者には大変参考になりました。その具体的な内容について記しておきます。
台所の立ち仕事の場合、足下に10から15pの台を置き片足をのせこまめに左右の足を替える
バッグをさげての歩行時、肩からさげるベルトはなるべく短く体に近いところで抱える
掃除機をかけるとき前屈みにならないように気をつける
洗濯物は意外と重いので洗濯機から取り出すときは分けて出す
ものを抱えて持ち上げるとき、膝を曲げて体をなるべく低い位置にして、腰を曲げないように膝で持ち上げる
床に座るときあぐらをかいたり前屈みになると腰に負担がかかるので、正座で座るのがよろしい
車の運転は背もたれの角度が110〜120度にして腰を椅子にくっつけるように座る。隙間ができるときはクッションなどをはさむ
背中が曲がっている方の日常生活の注意点は杖や押し車で前方を支えてやる工夫をすること
寝るときは膝の下に枕を入れて背中を伸ばさないようにして就寝すること
などなど……
腰痛体操について動画を閲覧しながら説明。
最後に
慢性腰痛の持ち主の方へ
1)安静臥床を続けることは良くありません
筋肉のおとろえ、骨のもろさ、軟骨のおとろえが進み、気分もふさぎがちになります。
2)腰痛体操を行いましょう
筋肉のストレッチを行い
筋肉の力をつけ
腰椎の関節軟骨を活性化し
気分を爽快にします