第4回市民公開講座「知っておきたい生活習慣病の正しい知識」

             講師 光市立光総合病院循環器内科部長 中村安真先生



             日時 平成25年3月2日(土)14時〜15

             場所 あいパーク・いきいきホール

             司会 光市医師会長 平岡博

4回目は生活習慣病について光総合病院循環器内科の中村安真先生にお話をいただきました(図1)。当日は聴講者がいっぱいで椅子が足らなくなり、慌てて椅子を足すことになりました。およそ50人の光市民が真剣に耳を傾けてくれました。

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  生活習慣病は高血圧症や糖尿病、高脂血症などの根本的な原因であり、その治療には薬剤以上に重要な位置を占めます。しかし、その改善は患者自身の自覚が不可欠で、よく理解して、それを実行する意識が何よりも重要です。今回は医学的な知識がなくても理解できるように専門の医師が咀嚼した知識を消化しやすく加工してわたしたちに披露してくれました。

  動脈硬化で血管がぼろぼろ、心臓や脳卒中、腎臓や網膜症など、全部痛んだ血管のせいです(図2)。血管を痛める原因は生活の中にあります。それは運動不足であり、塩辛いものの取りすぎであり、喫煙や飲酒など、過度のストレスもその原因です(図3)。その危険因子がいくつも重なりますとその危険度が急激に高まります(図4)。

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ではどののように気をつければいいんでしょう? 今日は一般に人たちが陥りやすい生活習慣病の知識にまつわるウソについてお話しします。以下に並べる項目は全部ウソです。

・血圧が高いと頭痛などの症状が出る??

・血圧は体調がすぐれないときに測る??

・血圧が高くなったら臨時で薬を服用する??

・血圧の薬やコレステロール・糖尿の薬は飲み出したら一生のまんといけんくなるからなるべくねばる??

・塩分は1日9gぐらい??

・水分はたっぷり取った方がいい??

・血糖には甘いもんが一番いけん??

・食っちょらんのに太る??

・運動して痩せよう!??

・雨じゃけぇ〜運動できん??

・夜はきちんと食べんといけんから 朝・昼を質素に??

・何を食べたら痩せますか?という質問??

・たばこがまめれんのは意志が弱いから??

・たばこを吸うと落ち着く??

・あの爺ちゃんヘビースモーカーだったけど長生きした、と安心する??

・換気扇の近くで喫煙。これで周囲の人は大丈夫??

・もう年じゃし、今さら禁煙なんて??

・睡眠時無呼吸? 俺は違うじゃろ??

・睡眠時無呼吸は昼間眠くなる病気。眠くならんけりゃ悪うない??

  以上、盛りだくさんでしたが、それぞれに深い意味が込められていました。先生は、禁煙外来も行われており、たばこの害とともにたばこをやめるために必要な心構えについて説得力のあるお話を聞くことが出来ました。たばこを吸うと落ち着くというのは認識の誤りで、喫煙習慣があるために常に嫌な体調に追い込まれていて、たばこを吸っているときだけ少しだけそれから解放されているんだというもの。これはだまされているんです(図5)。それともう一つ、目標塩分摂取量は0グラムです、というもの。減塩醤油や減塩味噌で薄味は成功しません、塩分を一切取らないという意識でやらないと失敗しますとの提言でした(図6)。日本人にとって正しい減塩はそのくらいの意識でないと実現不可能でしょう。実に納得のいく説明でした。

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医学の素人でも分かるように実に工夫された講演でした。終了後、聴講者から質問が相次ぎました(図7)。講演の内容がみんなの意識によく浸透した証拠でしょう。中村先生には感謝の念に堪えません。聴講者全体像(図8

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