市民公開パネルに参加して(抄録)
                      河村 康明

 今回の公開パネルの主題は緩和ケアですが、実地の医家を代表して医師会の立場から述べてみます。
 最前線の我々が担当するものは勿論、悪性腫瘍(癌等)だけでなく、循環器疾患・脳血管疾患・難病疾患など様々なものがあります。当院を例に取りますと、過去10年間で在宅で終えられた例は、28例(内、癌4例)。入院では54例(内、癌11例)であります。又、過去1年間の時間外診療は毎月5〜15件、往診も毎月16〜30件を敢えております。又、その半数は居宅介護支援事業所からの紹介であり、在宅治療と介護保険の関係が、増々深まる状態にあります。
 ある報告によりますと、終末場所の選択では、自宅希望が63.6%、病院希望が23.5%という状態ですが、現状はその逆でしょう。これには患者の希望というよりも、介護をする家族の事情がかなり影響を与える事は想像に難くありません。又、終末の医療・ケアも「自然に」が79.9%を占めております。
 緩和ケアのキーワードは、がん告知・安楽死・生命観・こころ・インフォームドコンセントなど例をあげれば枚挙にいとまはありませんが、これらの知識は現在の医療では、今まで語られなかった部分でかなりの医師が不得意とする分野で、医師個人の研鑽が必要でしよう。又、今後の在宅ターミナルケアの問題点として@機動力をもつことA開業医間の連携(グループ医療)B介護スタッフとの連携C後方医院との連携 D心のケアE痔痛緩和の習熟など、重要な問題がなかなか解決されていないのが現状でしょう。
 最後に発言の機会を与えていただいた皆様方に感謝いたします。