光地区での在宅看取りの経験
                     訪問看護ステーションひかり  大庭 真理子

 私どもの訪問看護ステーションが開設して3年になる。その間、癌の終末期では13名の方に関り、5名の方の在宅での看取りに立ちあった。
 その中には、本人の「最後まで家にいたい。」という希望を、家族全員がひとつの気持ちになって支え、4人の子供夫婦が全員揃われるのを、見届けられて亡くなられた例。また、妻1人に看護負担がかかり、精神的、肉体的な疲れから何度も入院を考えたが、本人の「家にいたい」という気持ちを大事にして、在宅での看取りが実現できた場合と、それぞれではあるが、いずれも、本人及び家族の方の満足感を得られた看取りであったように思う。
 在宅での看取りを難しくする要因の一つとして、家族の受入れ態勢が不十分であることが多い。家では十分な治療がしてあげられないのではないか? 急に苦しくなったらどうしたらいいのか?介護する自信がない…などの理由で受け入れ態勢が整わない場合がある。
 一方で、十分な説明で家族の不安が解消され、在宅での看取りを実現される家族もある。
 2例目の場合、病状が悪化するにつれ、妻の不安と疲労が大きくなり、主治医の週2〜3回の往診と、毎日の訪問看護で本人の希望を叶えることができた例である。
 このように、主治医の存在は大きく、在宅療養を支援するための方針や、訪問看護との連絡を密にすることで、本人や家族の不安の軽減につながったと思われる。
 愛する人を看取るということは、とてもつらく大変なことだと思う。多くの迷いと、一生懸命奮いたたせた勇気の結果だと思う。決断ができずに迷っている患者さん家族には、医師と共通の価値観で十分な援助、助言をしてあげたい。そして、患者さんがその人らしく生きること。家族の方には「自分は精一杯看護することができた」と思えるように支えていきたいと思う。
 在宅ケアの主役は、本人と家族である。彼らの決断を支え、後悔させないように、連携する医療者間のコミュニケーションをより大切にして、今後も『より添う看護』を目指していきたいと思う。