学術講演の記録

時 平成14年4月23日(火)19:00〜20:45
場所 光市商工会議所2階 大会議室 光市島田4丁目14-15号 0833-72-2234
表題 「アトピー性皮膚炎の治療」
講師 NTT東日本関東病院皮膚科 部長 五十嵐 敦之 先生


アトピー性皮膚炎の治療を聞いて        記 藤原邦彦

  講師はNTT東日本関東病院皮膚科部長の五十嵐敦之先生であった。生涯教育担当理事の山本先生の尽力により遠路五十嵐先生という立派な講師の講演を聴けたことに我々医師会員にとって幸福なことであった。徳山・熊毛等他地区の先生方の顔も散見された。講師の五十嵐先生は1984年東京大学医学部医学科を卒業し、東京大学皮膚科教室に入局された。米国フロリダ大学に留学後、東大分院講師を経て、NTT東日本関東病院皮膚科部長として数人の皮膚科医師とともに働いておられる。また同院副院長原田昭太郎先生は日本皮膚科学会会長として臨床重視の立場を貫いておられることも、若い五十嵐先生は多大な影響を受けておられるものと思いながら拝聴した。
 さて、アトピー皮膚炎治療ガイドラインが日本皮膚科学会から2000年に発表された。とかく悪者とされてきたステロイド外用剤が何となく日の目を見たような気がしたのを覚えているが、このガイドラインに添う形で、まず診断、ついで重症度の評価・原因、悪化因子検索と対策。スキンケア(異常な皮膚機能の補正)。最後に薬物療法が話された。治療の中心はステロイド外用の使い方であり、強弱と皮疹の部位、性状、ステロイド外用の副作用をスライドを使って示された。加えて、抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬の使い方、タクロリムス軟膏の使い方を教えていただいた。アトピー皮膚炎に特別な治療があるわけではなく、堂々と正道を行く話し振りに感心し、聞かせていただいた。講演後の会員の質問の多さもアトピー皮膚炎に対する会員の関心の高さを示したものと言えようが丁寧に答えておられた。先生の健康と益々のご活躍を祈りたい。