幼稚園・保育園関係者と園医の集い −第3夜−
日時:平成15年2月26日(水)午後7時より
場所:光商工会館2階大会議室
講演「暖かい人間関係を築くために」
講師 道上永江(みちがみながえ)先生
カウンセリングルーム「心の樹」カウンセラー
親業訓練協会 シニアインストラクター
T 人の話を聞くということ その原理
子供の悩みはたとえば身体的な訴えで表現される。おなかが痛いと訴える。それはちょうどもつれた糸のように子供の中に存在し、記号として表現される。話を聞くということはちょうどそのもつれた糸をほぐす作業に似ている。そのためには「能動的に聞く」訓練が必要である。
@ 繰り返す
A 言い換える
B 気持ちを込める
繰り返すとは、子供の言葉をそのまま言うことをいう。子供「おなかが痛い、おかあさん」母「おなかがいたいの?」。このことにより親がはぐれずにもつれた糸にたどり着くことが出来、子供も親に理解してもらったことに満足感を感じる。子供が否定的な言葉を放つとき、親はそれを言い換えて繰り返す。たとえば、子供「となりのえっちゃんったら、このまえぼくの背中をいきなりけったんだよ。今度合ったらぶっ殺してやる」母「そう!背中をけられたの? いけないわねえ」。否定的な言葉を咎めるのでなく言い換えて繰り返すことで、次第に語彙が修正されて、言葉の表現が豊かになる。その繰り返しにも、気持ちを込めなくては相手に響かない。
訓練でスキルを上げるには、相性のいい人の話を聞くことから始めるといい。あわない人相手では、初心者はどうしてもうまくいかないものである。
U 私メッセージ
相手の言葉に傷ついたとき、その対処の仕方。相手の気持ちを傷つけないように自分のメッセージを伝える方法。
@ 行動:非難がましくなく
A 影響:具体的に
B 感情:素直に率直に
女友達「あなた、その服ぜんぜん似合わないわよ。よくそんな服を着てくるわね」自分「何いってんのよ。これはボーナスを全部つぎ込んで買った、とっても高いものなのよ。あんただってとってもださい服をいつも着ているじゃない」……これじゃあ、お互いの人間関係はぎくしゃくしてうまくいきません。じゃあどのように答えればいいのか? 自分−−ちょっと間をおいて、−−「わたしものすごくショックだわ。これ、ボーナスを全部つぎ込んで買ったのにどうしましょ。あなたって服のセンスがいつもとってもいいのね。今度一緒に買いに行きましょ」−−このようにすんなり出るように訓練すると人間関係がうまくいくという話。
T.抄録
親業は1963年アメリカの心理学者トマス・ゴードン博士が考案した、暖かい人間関係を築くための講座です。そのプログラムは
@「人の話を能動的に聞く方法」
A「相手を傷つけずに自分の思いを伝える、私メッセージ」
B「問題が生じたときお互いの欲求を明確にして解決策を求めていく第三法」
の3つに分かれており、通常は週1回で、3時間、計8回で終了します。今回の講演では@「人の話を能動的に聞く方法」を具体的な事例をもとに、わかりやすくお伝えしようと思います。多くのご質問を期待しています。よろしくお顔いいたします。
道上 永江(ひさえ)
2003.2.23
U.略歴
静岡県生まれ。立教大学文学部心理学科卒業
全日本カウンセリング協議会準カウンセラー
中国山東省気功学科研究所練功十八法上級指導員
親業訓練協会シニアインストラクター
著書に「心の樹くぼり」「心の大学」など
(講演後記) 今回が第3回目となり、前2回は小児の疾患を中心に講演を行いましたが、今年度は心の問題を取り上げようと考え道上医院院長夫人にお願いいたしました。@能動的な聞き方A私メッセージを中心に講演していただきましたが、現実に行うことはかなり訓練が必要のようです。道上家の状況を樹舞えての体験談も非常に参考になりました。自立された道上先生がうらやましい限りです。(河村理事)