感染症新法について
学校保健法施行規則一部改正の省令


感染症新法の要約
  感染症新法の詳細な内容
・新感染症
(人から人に伝染すると認められる疾病であって、既知の感染症と症状等が明らかに
異なり、その伝染力及び罹患した場合の重篤度から判断し危険性が極めて高い感染症)
->特定感染症指定医療機関(国が指定、全国に数か所)へ、原則として入院(医療
費は全額公費)。
 今回の分類には含まれていない未知の感染症か万一出た場合に対応した制度

・一類感染症:
 ペスト、エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、マールブルグ病、ラッサ熱 
  第一種感染症指定医療機関(知事が指定、県に1カ所)へ、原則として入院
  (医療保険適用残額は公費で負担)。
  山口県ではまだ指定医療機関検討中。当分受け入れがない可能性もあり。

・二類感染症:
 コレラ、細菌性赤痢、腸チフス、パラチフス、ジフテリア、ポリオ
   第二種感染症指定医療機関(知事が指定。原則として各二次医療圏に1カ所)
  へ、原則として入院(医療費負担は一類と同じ)。
 入院施設は岩国・柳井・徳山医療圏では徳山中央病院に統一する。
 二類でも入院は72時間とされ、その後の入院延長は患者の意志を尊重すると
 なっており、10日毎に審査会が必要だとのことです。
 自覚症状がなければ排菌があっても入院を強制できないとのことでした。

・三類感染症:
 腸管出血性腸炎
  一般に医療機関で診療し(特定業務への就業制限)、入院の強制は出来ない。
  医療費は医療保険を適用する(自己負担あり)。
 O157が対象ですがベロ毒素を出す病原性大腸菌と考えて良いようです。

・四類感染症:一般に医療機関で診療し(発生動向の把握)、報告の義務あり。
医療費は医療保険を適用する(自己負担あり)。

四類感染症ですが、大きく2つに分類されます
 1)全数把握4類感染症と
    それぞれの4類感染症患者を診断した場合には全例保健所へ届け出が
    必要です。急性肝炎・梅毒などが対象です。
    急性肝炎はウイルスタイプ分類が必要です。
    梅毒については無症候性保菌者も届けるのかと言う質問には、まだ
    どの程度を報告してもらうか検討中とのことでした。
 2)定点把握4類感染症です
    県が指定した定点で診断した医師が週報として保健所へ報告する
    必要があります。
    今までの小児科と新たに内科系インフルエンザ等です。
 
1)全数把握4類感染症の内訳は、
 (1)ウイルス性肝炎、(2)黄熱、(3)Q熱、(4)狂犬病、(5)クリプトスポリジウム症、
 (6)後天性免疫不全症候群、(7)梅毒、(8)マラリア、(9)発疹チフス、(10)アメーバ
 赤痢、(11)破傷風、(12)回帰熱、(13)ツツガムシ病、(14)オウム病、(15)レジオネ
 ラ症、(16)ライム病、(17)デング熱、(18)腎症候性出血熱、(19)Bウイルス病、
 (20)日本紅斑熱、(21)エキノコックス症、(22)ジアルジア症、(23)髄膜菌性髄膜炎
 、(24)乳児ボツリヌス症、(25)劇症溶血性レンサ球菌感染症、(26)クロイツフェル
 ト・ヤコブ病、(27)ハンタウイルス肺症候群、(28)炭疽、(29)ブルセラ症、(30)先
 天性風疹症候群、(31)日本脳炎、(32)バンコマイシン耐性腸球菌感染症、(33)コク
 シジオイデス症です。
  日本脳炎は四類となり、一般病院で入院させてかまわないとのことでした。
2)定点把握4類感染症
  MRSAなどが含まれますが、定点病院だけの報告のようです。

報告
医師は、一〜三類感染症及び四類感染症の一部について、患者を診断した場合、
最寄りの保健所(地域保健福祉センター)に届け出ることとされています。
 届け出用紙は、保健所(地域保健福祉センター)にあります。
 届け出までの期間は、
  新・一〜三類感染症までは、直ちに。
  四類感染症は7日以内となっています。
 届け出事項は:四類感染症では下記の項目の記入が必要です。
 (1)年齢、(2)性別、(3)感染症名、(4)症状、(5)診断方法、(6)初診年月日、(7)診
断年月日、(8)感染(発病)推定年月日、(9)感染(推定)原因、(10)感染(推定)経路
、(11)感染(推定)地域、(12)医師氏名、(13)医師住所、(14)病院診療所名
 *但し、(6)後天性免疫不全症候群、(7)梅毒は、無症状病原体保有者も含む事に
なっています。詳しくは届け出書類をご覧ください。

問題点は
1.感染者の人権に配慮した法律となり、隔離入院に制限があり、排菌が見られても
 患者の自覚症状がなく退院を希望した場合には、強制入院は出来ず、72時間後は
 入院の継続は、審査委員会での審査が必要になったようです。
 審査員は指定医・弁護士を含むようです。
 排菌のある感染者が、退院した場合、周囲の健常者への感染の危険は考慮されてい
 ない、何か複雑な、どうすればよいのが示されない変更でした。
2.感染症新法と学校保健法の関係がまだ統一した意見となっていないようで、岡先生も
 調べてみるとのことでした。
3.4月1日よりすでに施行されているにもかかわらず、申請用紙はまだ案の状態ですし
 万一一類感染症が発症したときは、現在受け入れ医療機関も決まっておらず、どう
 しようもないとの答えでした。
4.新しい変更は内科系にもインフルエンザ定点が指定されたことですが、その診断
 は、臨床症状だけでの報告であり、例えば新型インフルエンザが流行した時など
 は、混乱すると思います。


学校保健法施行規則一部改正の省令
伝染病の種類
 第19条 学校において予防すべき伝染病の種類
 1.第1種 エボラ出血熱、クリミア、コンゴ出血熱、ペスト、マールブルグ病
      ラッサ熱、急性灰白髄炎、コレラ、細菌性赤痢、ジフテリア
      腸チフス及びパラチフス     
 2.第2種 インフルエンザ、百日咳、麻疹、流行性耳下腺炎、風疹、水痘
      咽頭結膜熱、結核
 3.第3種 腸間出血性大腸菌感染症、流行性角結膜炎、急性出血性結膜炎
      その他の伝染病
 変更点
 1類・2類などとされていたのが1種・2種と変わった
 従来の分類から第1類で流行性脳脊髄膜炎と日本脳炎・猩紅熱・痘瘡・発疹チフス
 が外され診ることはないだろうの特殊な伝染病が追加された。
 第2類ではウイルス性肝炎が除外され急性灰白髄炎が第1種に移動
 第3類の結核が第2種に、腸間出血性大腸菌感染症が第3種に追加

出席停止の期間の基準
 第20条 出席停止の期間の基準
 1.第1種の伝染病にかかったものについては、治癒するまで
 2.第2種の伝染病(結核を除く)にかかったものについては次の期間
   但し病状により学校医その他の医師が伝染のおそれがないと認めたときは
   この限りではない
  イ インフルエンザ  解熱した後2日を経過するまで
  ロ 百日咳   特有な咳が消失するまで
  ハ 麻疹    解熱後3日間を経過するまで
  ニ 流行性耳下腺炎  耳下腺の腫張が消失するまで
  ホ 風疹    発疹が消失するまで
  へ 水痘    すべての発疹が痂皮化するまで
  ト 咽頭結膜熱 主要症状が消退した後2日間を経過するまで
 3.結核及び第3種伝染病
   病状により学校医その他の医師が伝染のおそれがないと認めるまで
 4.第1種若しくは第2種の伝染病患者のある家に居住するもの、または
  これらの伝染病にかかっている疑いのある者については、学校医その他
  の医師が伝染のおそれがないと認めるまで
 5.第1種若しくは第2種の伝染病が発生した地域から通学する者について
  発生状況より必要と認めたとき、学校医の意見を聞いて適当と認める
  期間
 6.第1種若しくは第2種の伝染病の流行地を旅行した者
  状況より必要と認めたとき、学校医の意見を聞いて適当と認める期間

 変更点
 特に大きな変更点はないようです。確認はしておいてください


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