感染症の予防及び感染症の患者に対する
医療に関する法律施行規則の概要


1 四類感染症
・ 四類感染症は、アメーバ赤痢、咽頭結膜熱、インフルエンザ、ウイルス性
  肝炎、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎、エキノコックス症、黄熱、回帰熱、感染
 性胃腸炎、急性出血性結膜炎、急性脳炎(日本脳炎を含む。)、Q熱、狂犬
  病、クラミジア肺炎、クリプトスポリジウム症、クロイツフェルト・ヤコブ
  病、劇症型溶血性レンサ球菌感染症、後天性免疫不全症候群、コクシジオイデ
 ス症、細菌性髄膜炎、ジアルジア症、腎症候性出血熱、水痘、髄膜炎菌性髄膜
  炎、性器クラミジア感染症、性器ヘルペスウイルス感染症、尖形コンジロー
  ム、先天性風疹症候群、炭疽、ツツガムシ病、手足口病、デング熱、伝染性紅
 斑、突発性発疹、日本紅斑熱、乳児ボツリヌス症、梅毒、破傷風、バンコマイ
 シン耐性腸球菌感染症、ハンタウイルス肺症候群、Bウイルス病、百日咳、風
 疹、ブルセラ症、ペニシリン耐性肺炎球菌感染症、ヘルパンギーナ、発疹チフ
  ス、マイコプラズマ肺炎、麻疹、マラリア、無菌性髄膜炎、メチシリン耐性黄
  色ブドウ球菌感染症、薬剤耐性緑膿菌感染症、ライム病、流行性角結膜炎、流
  行性耳下腺炎、淋菌感染症及びレジオネラ症とする。

2 特定感染症予防指針
・ 特定感染症予防指針を作成する感染症は、インフルエンザ、後天性免疫不
 全症候群、性器クラミジア感染症、性器ヘルペスウイルス感染症、尖形コンジ
  ローム、梅毒及び淋菌感染症とする。

3 感染症に関する情報の収集及び公表
 (1) 一類感染症から三類感染症までについての届出事項
 氏名、年齢、性別の他、一類感染症の患者、二類感染症又は三類感染症の患
者又は無症状病原体保有者についての医師の届出事項は、次に掲げる事項とする。
1) 当該者の職業及び住所
2) 当該者が成年に達していない場合については、その保護者の氏名及び住所
3) 感染症の名称及び当該者の症状
4) 診断方法
5) 当該者の所在地
6) 初診年月日及び診断年月日
7) 病原体に感染したと推定される年月日(感染症の患者については、発病した
と推定される年月日を含む。)
8) 病原体に感染した原因、感染経路、病原体に感染した地域又はこれらとして
推定されるもの
9) 診断した医師の住所(病院又は診療所で診療に従事している医師について
は、当該病院又は診療所の名称及び所在地)及び氏名
10) その他感染症のまん延の防止及び当該者の医療のために必要と認める事項

(2) 全数届出の四類感染症
 全数届出の対象となる四類感染症は、後天性免疫不全症候群、梅毒及びマラ
リアの他、アメーバ赤痢、急性ウイルス性肝炎、エキノコックス症、黄熱、オ
ウム病、回帰熱、Q熱、狂犬病、クリプトスポリジウム症、クロイツフェル
ト・ヤコブ病、劇症型溶血性レンサ球菌感染症、コクシジオイデス症、ジアル
ジア症、腎症候性出血熱、髄膜炎菌性髄膜炎、先天性風疹症候群、炭疽、ツツ
ガムシ病、デング熱、日本紅斑熱、日本脳炎、乳児ボツリヌス症、破傷風、発
疹チフス、バンコマイシン耐性腸球菌感染症、ハンタウイルス肺症候群、Bウ
イルス病、ブルセラ症、ライム病及びレジオネラ症とする。

(3) 四類感染症患者に関する届出事項
 (2)の感染症にかかっている患者についての医師の届出事項は、患者の年齢及
び性別の他、(1)の3)、4)、6)〜9)に掲げる事項とする。

(4) 指定届出機関の指定と各定点種別ごとの届出感染症
  定点届出機関が届け出る四類感染症は、次の表に掲げるものとする。
 定点届出機関の指定は、地域における感染症に係る医療を提供する体制、保
健所の設置の状況、人口等の社会的条件、地理的条件等の自然的条件その他の
地域の実情を勘案して、次の表の四類感染症の区分ごとに、原則として各区分
ごとに次の表に定める病院又は診療所のうち当該感染症の区分に係る感染症の
指定届出機関として適切と認めるものについて行う。
 ○診療科名中に小児科を含む病院又は診療所
一 咽頭結膜熱、A群溶血性レンサ咽頭 炎、感染性胃腸炎、水痘、手足口病、
 伝染性紅斑、突発性発疹、百日咳、風疹、ヘルパンギーナ、麻疹(成人麻疹を
   除く。)及び流行性耳下腺炎
 ○診療科名中に内科又は小児科を含む病院又は診療所
二 インフルエンザ
 ○診療科名中に眼科を含む病院又は診療所
三 急性出血性結膜炎及び流行性角結膜炎
 ○診療科名中に産婦人科若しくは産科若しくは婦人科、性病科又は泌尿器科若しくは
  皮膚科若しくは皮膚泌尿器科を含む病院又は診療所
四 性器クラミジア感染症、性器ヘルペス 、ウイルス感染症、尖形コンジローム及
び淋菌感染症
 ○患者を三百人以上収容する施設を有する病院であって、その診療科名中に内科及び
  外科を含むもの
五 急性脳炎(日本脳炎を除く。)、クラ ミジア肺炎(オウム病を除く。)、
 細菌性髄膜炎、ペニシリン耐性肺炎球菌感染症、マイコプラズマ肺炎、成人麻疹、
 無菌性髄膜炎、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症、薬剤耐性緑膿菌感染症

(5) 指定届出機関からの届出の期日
 指定届出機関は、原則として毎週月曜日に届出を行うものとする。

(6) 指定届出機関からの届出事項
 指定届出機関からの届出事項については、年齢、性別のほか、(4)の表の五の
区分に掲げる四類感染症については、原因となった病原体の名称及びその識別
のために行った検査の方法とする。

(7) 積極的疫学調査に関する報告事項
 都道府県が行った質問又は必要な調査の結果のうち、厚生大臣に対して報告
するのは、都道府県知事が感染原因等、感染症のまん延の状況その他の事情を
考慮して重要と認めるものについて行うものとする。

4 健康診断、就業制限及び入院
(1) 健康診断を行う場合の通知事項
1) 健康診断の勧告をし、又は健康診断の措置を実施する理由
2) 健康診断の勧告をする場合は、健康診断を受け、又は受けさせるべき期限
3) 健康診断の措置を実施する場合は、健康診断を行う日時、場所及びその方法
4) 健康診断の勧告をする場合は、当該勧告に従わない場合に健康診断の措置を
 実施することがある旨
5) その他(都道府県知事が)必要と認める事項

(2) 就業制限を行う場合の通知事項
1) 3の(1)の内容のうち3)、4)及び6)に係る内容
2) 法第十八条第二項に規定する就業制限及びその期間に関する事項
3) 法第十八条第二項の規定に違反した場合に、法第六十九条第三項の規定によ
 り罰金に処される旨
4) 法第十八条第三項の規定により確認を求めることができる旨
5) その他(都道府県知事が)必要と認める事項

(3) 就業制限対象職種
1) エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、マールブルグ病及びラッサ熱につ
  いては、他者の身体に直接接触する業務及び飲食物の製造、販売、調製又は取
  扱の際に飲食物に直接接触する業務
2) 急性灰白髄炎、コレラ、細菌性赤痢、腸チフス、パラチフス及び腸管出血性
  大腸菌感染症については、飲食物の製造、販売、調製又は取扱の際に飲食物に
  直接接触する業務
3) ジフテリア及びペストについては、多数の者に接触する業務及び飲食物の製
  造、販売、調製又は取扱の際に飲食物に直接接触する業務

(4) 入院勧告を行う場合等の通知事項
1) 入院の勧告、入院の措置又は入院の期間の延長をする理由
2) 入院の勧告又は入院の措置をする場合については、入院すべき期限及び医療
 機関
3) 入院すべき期間又は入院の措置の延長をする期間
4) 入院の勧告をする場合については、当該勧告に従わない場合に入院の措置を
  することがある旨
5) 法第二十二条第一項に規定する退院に関する事項
6) 法第二十二条第三項の規定により退院を求めることができる旨
7) 法第二十五条に規定する審査請求の特例に関する事項
8) その他(都道府県知事が)必要と認める事項

5 消毒その他の措置
(1) 消毒の方法
一類感染症から三類感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため
の消毒は、次の基準に従い、消毒薬を用いて行うものとする。
1) 対象となる場所の状況、感染症の病原体の性質その他の事情を勘案し十分な
  消毒が行えるような方法により行うこと。
2) 消毒を行う者の安全並びに対象となる場所の周囲の地域の住民の健康及び環
 境への影響に留意すること。

(2) ねずみ族及び昆虫等の駆除の方法
一類感染症から三類感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため
の駆除は、次の基準に従い行うものとする。
1) 対象となる区域の状況、ねずみ族又は昆虫等の性質その他の事情を勘案し十
  分な駆除が行えるような方法により行うこと。
2) 駆除を行う者の安全並びに対象となる場所の周囲の地域の住民の健康及び環
  境への影響に留意すること。

6 医療
 (1) 費用負担の申請
 医療費の公費負担の申請は、次に掲げる事項を記載した申請書を提出して行う。
1) 患者の住所、氏名、生年月日及び性別
2) 申請者が患者の保護者の場合については、当該保護者の住所、氏名及び患者
との関係
3) 患者が法第三十九条に規定する者に該当する場合については、その旨

 (2) 前項の申請書には、次に掲げるものを添付しなければならない。
1) 入院に当たっての通知の写し
2) 当該患者並びにその配偶者及び民法(明治二十九年法律第八十九号)第八百
七十七条第一項に定める扶養義務者の当該費用の負担能力を把握するために都
道府県知事が必要と認める書類

7 新感染症
 (1) 新感染症に係る通知事項
 健康診断、入院及び消毒その他の措置を行うに当たっての通知事項は、一類
  感染症等に係る通知事項に準じて行う。

 (2) 新感染症に係る通報事項
 新感染症に対して都道府県が措置を実施する際に、厚生大臣に対して通報す
 べき事項は、当該措置の内容及び当該措置を実施する時期の他、次に掲げる事
  項とする。
 1) 当該措置を実施することが必要な理由
 2) その他(都道府県が)必要と認める事項
8 その他
  施行期日及び関連して廃止又は改正すべき省令について規定する。


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