Information

会長記者会見

テーマ「新型コロナウイルス感染症患者に対する差別・偏見はやめよう」

日 時:令和3年4月8日(木) 14時~15時

[会長発言]

《 初めての記者会見にあたって 》

  • 地域医療の中で一番重要なものは、山口県医師会として、県民にどれだけ溶け込んで、どれだけ話ができるかということ。山口県には4つの地方医学会があり、昨年、その中で「県医師会長と語ろう」というコーナーを作ってもらおうと思っていたが、中止となった。皆様方となかなか話し合うことができないので、プレスの力を借りながら、情報発信ができればと思っている
  • 報道の皆様は、県からいろいろ情報を手に入れられていると思うが、われわれ現場の医師が肌で感じた意味合いと、少しズレがあるように思われ、できればそういうことまでお話できればと思っている。

《 新型コロナの感染状況と医療従事者に対する差別・偏見について 》

  • 現在、大阪、兵庫、宮城で「まん延防止等重点措置」が出されているが、恐らくもうすぐ緊急事態になると思われる。東京もまん延防止等重点措置を通り過ぎる感覚である。
  • 県内でも感染者は1,400人を超えている。その中で、われわれは自分自身もだが、家族にも濃厚接触者の経験をされた方もおられる。医療従事者、回復者や感染者に対する差別・偏見がある。これから、コロナ感染症が県民の中でどのようになっていくか分からないが、正しい理解をもっていただければと思っている。

《 新型コロナ感染拡大予防について 》

  • 国内外の研究報告からわかってきたことが2つある。変異株による感染ではなく、治療に人工呼吸器やECMOを使ってない場合、発症して7日~10日で感染力が急激に低下する。また、感染力が低下した後でもウイルスの残骸などで、PCR検査で陽性が出ることがある。
  • 退院基準は、人工呼吸器やECMOを使う場合、発症日から15日間経過、かつ、症状軽快後72時間経過すれば退院できる。また、症状軽快後24時間経過した後、24時間以上間隔をあけ2回のPCR検査等で陰性を確認できれば退院できる。新型コロナ変異株の場合はまだ分からないところがあるが、症状消失後24時間経過した後、24時間以上間隔をあけ2回のPCR検査等で陰性を確認、又は陽性が確認された場合は、2回連続の陰性確認まで検査を繰り返すとなっている。退院患者に対しては厳格な退院基準で対応し、感染拡大の予防対策はできている。

《 新型コロナ感染症に対する正しい理解と行動について 》

  • 新型コロナ感染に対する差別や偏見、嫌がらせが広がると医療従事者などのエッセンシャルワーカーの離職が増加する可能性がある。また、感染者への差別・偏見が増えると検査を避けたり、感染を隠そうとする人が増え、感染拡大を抑えにくくなる。
  • また、感染を拡大させないためには、3密の回避、マスクの着用、手洗いなど感染予防策の徹底や発熱等がある場合は、まずはかかりつけ医に電話で相談することをお願いしたい。
[主な質疑]

《 県内の感染状況に対する認識について 》

  • 県内は落ち着いた状況であるが、大阪を中心とした変異株が県内にも入っているので、どのような感染状況になるか見守っている状況。変異株の感染力の速さを考えると対応が難しい。

《 変異株の県内感染拡大・第4波の可能性について 》

  • 県内で感染することはかなり少ないが、近隣の県からの感染が多いので、近隣県の発生状況を把握しておくことが大事。ワクチン接種が終了するまでは、集団での飲食は自粛を続けることが必要。

《 ステージ3の時(1月)の医療現場の逼迫状況と県の対応への注文について 》

  • クラスターが発生した病院には、県内から多くの医師や看護師が応援に行き、大きな力を注いだ。他県では自宅療養の例があるが、山口県ではない。変異ウイルスが蔓延した場合は分からないが、対応できる状況にはある。
  • ステージ3での対応について県民の理解を求めることが必要。県民が同じ問題意識を持って行動することが大切。

《 医療従事者に対する差別・偏見について 》

  • 具体例として、これまで確認されているものでは、病院に勤務している方が親戚からコロナがうつるかもしれないので家に行かないと言われた。陽性者をみている病院で患者と接しているわけでもないのに、その家族が会社から出勤しないように言われた。医療従事者の子どもがコロナと関係のない疾患で入院し、退院後、コロナだったのかと言われたなどがあった。現在もこうした状況が一部には残っていると思う。
  • 差別・偏見を無くすためには、県民がコロナに対する理解を深めていただくことが大切。罹患しても厳格な基準で退院しているので、退院後にうつることはない。県民の皆様に理解を深めていただくことをお願いする。

《 新型コロナ感染拡大に伴う医療従事者の離職について 》

  • クラスターが発生した2月頃には離職者が多く出た。全体数を把握しているわけではないが、ある病院では、職員170人中32人、他の病院では60人中10人が離職している。病院はシフト制を敷いているので、かなりの影響があり、シフトが組めない状況も出ている。4月に入っても陽性患者をみる外来では厳しい状況が続いている。
  • 万全の感染予防対策をしていても、周りからは理解が得られず、離職者が出て医療体制が取りづらくなる。みんなで支え合うことが新型コロナ感染症対策として必要。一生懸命やっていることが報われないという残念な事例と思う。

《 新型コロナワクチン接種について 》

  • 医療従事者は今月から来月にかけて、高齢者は来月から本格的に接種が実施される。予約が取りにくい状況と聞いているが、慌てずに対応していただきたい。
  • 接種をおそれることなく、患者の状況を判断ができる、かかりつけ医で極力接種されることを勧める。

《 ワクチン接種の副反応について 》

  • 筋肉注射は痛みを伴うもので、これまであまり経験もなく、どこまでが副反応とするのかということもある。先行接種を行った病院では、アナフィラキシーショックはない。痛みと熱発はあるが重大な副反応はないと聞いている。
  • 医療従事者のなかには、2回目の接種で、頭痛・発熱・倦怠感で2日間休んだという例を聞いている。2回目の接種は、土日が休みなら金曜日に接種をするなど、勤務体制をみながら接種をすれば問題はない。
  • 今まで打ったことのない予防接種であることでの注意は必要。高齢者のみの世帯では同じ日には打たないなどの工夫も考えられる。

《 プレミアム宿泊券の発行について 》

  • 医療的には感染拡大防止のため、ない方がいいが、その時の感染状況において判断するほかない。現在は、県内では感染が落ち着いているので、今回の知事の判断はいいと思う。
  • 変異株が流行した際には、感染状況によって判断することとなるが、中止の申入れもあると考える。変異株によってクラスターが発生した場合、かなり厳しく考えた方がいい。

 

会長記者会見掲示資料

 

 

 

 

 

 

 

 

戻る

ページの先頭に戻る