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平成12年度 目の健康講座の開催報告

開催日 平成12年8月5日(土)
会場 ぱ・る・るプラザ山口

田原先生の写真 講演「緑内障」-気づかないうちに進行する視野障害-

講師 田原昭彦教授(産業医科大学眼科)

 

眼圧とは目の硬さである。緑内障とは、主に眼圧が上昇して視神経が圧迫され不可逆性の視野狭窄が徐々に進行する疾患で、失明に至る危険性がある。初期の緑内障性視野異常は自覚されない場合が多い。さらに、緑内障には3つのタイプがある。房水(目の中を循環する栄養水)の流れが妨げられて急激に眼圧が上昇する急性緑内障、房水の眼外への排出が慢性的に障害されているために眼圧上昇が続く慢性緑内障、眼圧が正常範囲内にもかかわらず視神経の障害が徐々に進行する正常眼圧緑内障、以上3つのタイプにについて病態、症状、治療について述べた。  その中で、急性緑内障発作は激しい眼痛、頭痛や吐き気などがあり、視力低下、充血、瞳が大きく開いていることが多い。女性や若いとき視力がとても良い人に起こりやすい。早期に適切な処置をすれば改善する可能性があり、前記のような目の異常を感じたらすぐに眼科を受診することが大切である。慢性緑内障は自覚症状に乏しく、気づいた時は進行している場合が多い。治療は薬物や手術で眼圧をコントロールして視野障害の進行を防止することである。したがって、早期発見や進行防止のための定期的な眼検診が重要である。治療を中断してはならない。また、正常眼圧緑内障は現時点で確実な治療法はないが、さらに眼圧を低下させることが必要な場合も多い。進行は極めて緩徐である。今後、治療法が確立される可能性もあり、眼科医とともに病気に取り組むことが大切である点を強調されました。


西田先生の写真 講演 「糖尿病と眼」

講師 西田輝夫教授(山口大学眼科)

 

日本における糖尿病人口は約600万人と推定されている。40歳以上では約10%が糖尿病と言われている。糖尿病網膜症の頻度は以前より35~50%と変化ないが、糖尿病人口の増加にともない急増している。さらに、欧米と同様に中途失明の原因の1位を占めるようになってきた。糖尿病になって10年経過すると、ほぼ7,8割の人に網膜病変が発症する。20年たつと半分くらいの人が最終段階の増殖型に移行する。 以前は増殖型に移行すると失明するひとが多かった。増殖の前の段階で、レーザー光線による網膜光凝固術の治療を行うことが必要である。増殖型では、目の中に新生血管が生じ、それをもとに発達した増殖膜のためにけん引性の網膜剥離や硝子体出血(眼球内部の出血)が発生する。最近では、硝子体手術が進歩し、こうした難治例も治療できるようになっているが視力が改善しない例も少なくない。糖尿病網膜症の発症、進行防止にはやはり血糖のコントロールが最も重要であるので、内科の医師の指示に従い、普段からの節制を気をつけなければならない。さらに、糖尿病と診断されたら必ず眼科を受診し、定期的な眼底検査を受け、適切な時期に網膜光凝固などの適切な治療を受けなければならない。


健康相談の写真 目の健康相談

浅山琢也山口県眼科医会会長をはじめとして、12名の眼科専門医が、個別に相談希望者の質問に対して、回答、説明いたしました。 相談者は、男性19名(年齢53~84歳 平均70,5歳)、女性29名(年齢43~77歳、平均66,1歳)合計48名で、相談内容としては、緑内障22名、白内障20名、糖尿病網膜症16名、飛蚊症2名、ブドウ膜炎1名、網膜色素変性症1名、網膜裂孔1名、膠原病1名、流涙症1名、ドライアイ1名(重複相談を含む)となっております。

 

機器展示の写真 視覚福祉機器展示

健康相談の隣のブースにて、視覚障害者の方のための拡大鏡や眼鏡および字が読みづらい方のための拡大用TVなど各種の福祉機器の展示が行われました。最初は、人気がなく空いていましたが、次第に見学希望者が増え、熱心に説明に耳を傾けておられました。眼科の学会ではこのような展示は珍しくありませんが、一般の方々にとってはまだ触れる機会が少ないようです。近年ロービジョンケアに関心が高まっており、Quority of Lifeの面から、このような機会を増やしてゆきたいと思います。


目の健康講座アンケート結果

以上の相談および講演終了後、聴講された方にアンケートをお願いし、300人を超える多数の方々に、協力していただきました。その、結果を下記に掲載させていただきます。


記入者のグラフ記入者:320人
年齢構成のグラフ年齢構成
地域別のグラフ地域別

○この講座をどこでお知りになりましたか? (重複選択)
県市町村の広報誌など 25人
新聞、放送 33人
保健所、保健センターのポスター、チラシ 3人
病院、医院のポスター、チラシ 202人
眼鏡店のポスター、チラシ 4人
インターネット 0人
医者のすすめ 26人
その他 41人


○参加された動機は何ですか? (重複選択)
年齢的に目の老化があると思ったから 50人
目が疲れやすくなったから 33人
近くの字が見えにくくなったから 23人
自分、家族に白内障で悩んでいる人がいるから 34人
自分、家族に緑内障で悩んでいる人がいるから 82人
自分、家族に糖尿病の人がいるから 101人
子供の目のことが心配なので 5人
その他 63人
記入なし 2人


○本日の講座はいかがでしたか?
期待していたとおりの内容だった 289人
期待していたものではなかった 4人
記載なし 27人


○本日の講座で特に印象に残った点の感想をご記入下さい
きれいなスライドで、緑内障、糖尿病についてよく分かりました
正常眼圧緑内障の恐怖を知らされました
緑内障で一生、先生の診察を受けたいと深く思いました
自分の気のつき方が遅かったのが残念です
緑内障が治らないと言われてショックでした
緑内障の薬の事についても話して欲しかった(長期使用での副作用のことなど)
講演の資料をプリントして欲しかった
室内が暗くてメモしづらかった
入口に資料をたくさん用意していただき有り難く思いました、etc.


○今後の講座のテーマとして、ご希望がありましたらご記入下さい。
糖尿病(2回目)、網膜剥離、黄斑疾患、近視手術、角膜移植、白内障、老眼 etc.



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